エアコンクリーニング業者が警鐘を鳴らす全館空調システム

エアコンクリーニング業者が警鐘を鳴らす全館空調システム

全館空調とは?

近年テレビCMでも宣伝されるようになった全館空調システム。

主なメリットについては以下のような点があります。

  • 家のどこにいても暑さや寒さが適温に保てる
  • トイレや脱衣所も適温なのでヒートショックが防げる
  • 壁掛けのエアコンが不要のためインテリアがスタイリッシュになる
  • 冷暖効率上の部屋の仕切りを考えず間取りの自由度が高くなる
  • ペットにとっても快適

確かに冬場、お風呂に入ろうと脱衣所で服を脱ごうとすると寒かったり、夏場にトイレこもると汗だくになったりといったことがあります。冬場はさあ寝ようと寝室に行くと寒かったり、夏場は暑かったりします。

全館空調システムを家に導入していれば廊下に出ても快適、洗濯物を干しに2階に上がっても快適といいこと尽くしです。

もちろんデメリットもあるわけです。

  • 初期導入費用がかかる
  • 常に全空間を空調するので電気代がかかる
  • 部屋ごとの温度変更が出来ない(ある程度出来るシステムも)

等がありますが、最大のデメリットは別にあります。

エアコンクリーニング業者が直面する全館空調のデメリット

①メンテナンスが困難!

全館空調を採用されるお客様の中に、インテリアを重視される方がいます。
建築側の設計もそれを重視して空調の本体を見えない場所に設計配置します。

まだ1階の階段下や壁の中に収納されていれば点検口も設けやすいですが、下記のケースは屋根裏でしかも吹き抜け階段の上に位置する屋根裏でした。

屋根裏に本体のある全館空調

吸気口は別途廊下や部屋にあるので、吸気口のフィルターのメンテナンスは居住されているお客様で出来ないことはありませんが、天井だと中々ままならないことも。

まして、屋根裏や隠蔽されている本体を見なければならないのに点検口すらついていない…なんてことも。

②メンテナンスや買い替え費用が高額!

多くのマンションや一戸建てでは各部屋に壁掛けのエアコンを設置しています。
この場合、居住者さんのメンテナンス不足が仮にあったとしても、当社のようなメンテナンス業者を手配すれば容易にメンテナンスが可能ですし、予算も想定外ということはありません。

しかしこのような特殊な設置環境、特殊なエアコンをメンテナンス出来る業者は限られてきますので、お客様の方でメンテナンス出来る業者さんを見つけるのは容易ではありません。

住宅を建ててくれた工務店に聞いたら、修理だけで壁掛けエアコンが1台どころか2台買えてしまうようなメンテナンス費用を請求された…最悪その工務店は倒産していた…なんてことも。

民生用(家庭用)のエアコンですとメーカーは耐用年数は10年としています。
こういった全館空調用のエアコンはおそらくですが、業務用のように耐久性を持たせていると思われますが、それでも20年、30年平気で持つかというと疑問です。

全館空調という特性から家にいる間はほぼ24時間稼働ですので、個別の部屋ごとに設置している壁掛けエアコンよりも稼働率は相当に高くなります。

少なからず、建築時に生まれた子どもが成人するころには全館空調のエアコン本体を入れ替えるという工事をしなければならないことは覚悟しておく必要はあるでしょう。

故障や不具合が出て空調が停止したら逃げ場がない!

各部屋に壁掛けエアコンがあれば、仮にどこかの部屋のエアコンに不具合・故障が出ても、別の部屋に避難して暑さ・寒さをしのぐことができます。

しかし全館空調の場合、本体に不具合や故障が出て使えなくなると、家じゅうどこにも逃げ場が無くなります。

当社の事例でも真夏に全館空調にエラーが出て停止してしまい、仕方なく復旧までホテルで寝泊まりしたというお客様がいらっしゃいました。

エアコンクリーニング業者からの警鐘と提言

空調・ハウスメーカーはメンテナンスを購入者に義務化

前述のごとく、個別の部屋に設置する壁掛けエアコンと違い、メンテナンスの重要性は桁違いに高いはずの全館空調のエアコンのメンテンナンスは、お客様任せにせず空調・ハウスメーカーが車の車検同様に有料契約で定期メンテナンスを義務化すべきと考えます。

特に冷房運転をする以上、空調本体内部にカビが発生し衛生低下が起きるのはすべての空調機器に言えることです。

定期的なメンテナンス(エアコンクリーニング業者による分解内部洗浄)を行わない限り、故障までいかずとも、カビ汚れによる冷暖房性能の低下や、カビや生活臭由来の嫌な臭い、アレルギーの原因物質の内部蓄積は避けられません

家屋設計者は全館空調本体のメンテナンスや入れ替えを考慮した設計に

早ければ10年、20年前後で空調本体の入れ替えも視野にした設計にしなければならないと考えます。

空調本体を入替えるために壁を剥がして、足場を組んで天井を剥がして…といった工事を要するような設計・設置は避けるようにすべきです。

買い替えることなく少しでも長い期間使い続けるためにも定期的なメンテナンスしやすい設置場所、メンテナンスや入れ替え工事時の作業性を考慮した設計(点検口、点検スペースを設ける)にすべきと考えます。

壊れたら買い替える…が出来ないのが全館空調との認識を

各部屋に設置された壁掛けのエアコンであれば、壊れるまで使い続けて壊れたら買い替えるということも出来ます。真夏であったとしても、早ければ数日中かせいぜい1週間~10日待ちで買い替え設置が可能です。その間も空調の効いた別の部屋で暑さ・寒さを凌ぐことは可能です。

全館空調はそうはいきません。家電量販店に並ぶような民生用と違い、まず在庫は無いものと思った方がいいでしょう。製品そのもの納期に下手すれば1~2か月を要する可能性があります。
さらに工事期間も、前述のように入れ替え工事を想定した設計になっていなければ壁や天井等の内装工事とセットです。

したがって現実的に『壊れたら買い替える』と選択肢が無いなのが全館空調です。

15年、20年といった節目を決めて、まだ使えるかもしれないけれども計画的に買い替える必要があるものという認識で予算計画すべきでしょう。

まとめ

以上のように全館空調のメリットとデメリットをエアコンクリーニング業の立場から説明させていただきました。
特に、住み始めてから将来に渡る点について、メンテナンスを請け負ってきた経験から説明させていただきました。

ご参考になれば幸いです。

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