エアコンの10年保証は必要かどうか?
エアコンクリーニングに携わる当社として、エアコン購入時に費用負担してでも10年保証に入るべきかどうか、要不要についてアドバイスいたします。
結論から申し上げると
エアコンを買ったら10年保証を付けましょう!
ということになります。
10年保証特約を付けた方がいい理由
この記事は2022年6月に書いております。
書いている矢先にタイムリーに、エアコンクリーニングに訪問しているスタッフから下記の連絡が来ました。
2019年製のフィルターお掃除ロボット付きエアコン、1機種が作業前の動作確認で温度が出ず、待っていると勝手に停止。もう一台の同じく2019年製のノーマルタイプのエアコンも30分経っても温度が出ない不具合が確認され、一度点検をしてからにするのでキャンセルになりました…
当社が開業当時の2010年当時から現在、エアコン事情も大きく変化しております。
開業当時の状況であれば、10年保証は入らなくても良い…と考えておりました。しかし、その時代の変化が10年保証加入の必要性が高まっているなと年々感じることでした。
具体的には下記の理由からです。
1.フィルター自動掃除機能付きエアコンの登場
エアコンの多機能化の歴史の中でも最も大きなターニングポイントがこのフィルター自動掃除機能=通称『お掃除ロボ』の登場でしょう。
当社が開業した2010年当時、ちょうど2~3年前頃から各メーカーが採用し始め、主要ラインナップになり始める黎明期でした。
エアコンクリーニング業者はこの機能を100%『意味の無い機能』と評価しています。むしろ意味が無いどころかエアコンに悪影響を及ぼす設計と評価しています。
詳しくは下記の当社記事を参照いただければ幸いですが、具体的には下記の理由で耐用年数の10年を待たず不具合が出るケースを多く見かけるようになりました。
【参考記事:『フィルター自動掃除機能付きのエアコンは買ってはならない』】
- 冷暖房効率に悪影響を与えるため、過度の負荷運転により長期的に製品寿命を縮めている
- お掃除ロボユニットの複雑な機構によりお掃除ロボの不具合が経年で多発
正直、お掃除ロボの不具合が出ても気にすることなく冷暖房は使えるケースがほとんどなので、お掃除ロボのエラーが出ても修理代をかけずに使い続けるという手もあります。
しかし、大半のユーザー様はエラーランプが点灯・点滅していたら気になって仕方がなく修理されます。
当方もエアコンクリーニングで訪問し、動作確認をするとお掃除ロボの稼働エラーが出る、既に出ているケースが非常に多いです。
お客様にお伝えすると、購入もとに問合せされて『10年保証に入っているから交換してもらえるから大丈夫』とのこと。
別のケースでは、9年使用のエアコンで『お掃除ロボのユニットは不具合出て去年丸ごと交換してもらってあるから』と申告されたケースも。
こういった観点からも10年保証の有効性は従来に比較して高まっているなと考えます。
2.海外製部品の採用とメーカーの部品在庫期間の減少
2年前に某メーカーで、10年未満のエアコンのルーバーを動かすモーターの不具合が発生したため、部品の購入を打診したところ、メーカーには在庫は無く入荷も未定との回答。10年未満でも容赦なく在庫切れ・在庫の補充もしないとの回答に驚きました。
仕方なく、モーターの現品を取り外しモーターのメーカーと型番を控えて、直接モーターメーカーより調達を図ろうとしました。従来はほとんどのメーカーは、モーターは国内製の三菱製を使用していることが多く、モーターに添付されている型番で問い合わせを書ければ、エアコンメーカーに在庫は無くともモーターの製造元にはあるというケースもあります。
しかしモーターに貼付されている銘板(メーカーと型番)を調べると国内メーカーではなく、型番で検索をかけると台湾?の製造元が表示され、海外の販売サイトで販売されているものでした。
そりゃあ在庫は売り切りごめんだろうなと思った経験をしました。
その時は保証は出来ないとの前提・お客様了承の元で、国内製を採用していた同型の型落ち機種の相当品部品在庫があったのでダメ元で交換し、事なきを得ました。
もし10年保証があったら、結局この対応しかなかったんじゃないか?と思った次第でした。
業者としての体感
これは統計資料等の裏付けがあるものではありませんが、エアコンクリーニングに携わる業者としての体感ですが、エアコンの寿命が短くなったな~というのが体感です。
開業当時は10年以上経過したエアコンの洗浄依頼が多数ありました。またその中でそう簡単に不具合が出ることも本当に稀でした。
しかし、エアコンの多機能化に伴い、部品点数の増加や、機構の複雑さに伴い、使えなくなってしまうような不具合は稀としても、軽微な不具合は本当に増えたというのが体感するところです。
特にお掃除ロボ付きのエアコンは、従来であればお客様自身でメンテナンス出来ていたフィルターの掃除や市販スプレー洗剤の塗布を困難にしてしまい、むしろお客様のセルフメンテナンスによって不具合の原因を誘発しているケースも非常に増えています。
フィルターを外したはいいが、取付けられなくなった、取り付け方の不具合によってエラーが、フィルターが損傷といった事例です。
注意としては、お客様のメンテナンス・使用方法によって発生した不具合は保証対象外になります。
そのこともあり、また機構の複雑化から従来出来ていたお客様によるメンテナンスが敬遠され出来なくなったことから、お掃除ロボ付きのエアコンの方が汚れが放置されエアコンに負担がかかるという本末転倒な事態も製品寿命に影響を与えていると考えられます。
10年保証を付けるべき機種
とはいえ何でもかんでも買ったエアコンすべてに10年保証が必要とは考えません。
以下に該当するエアコンは10年保証を追加することをお勧めします。
リビングのような広間で稼働率の高いエアコン
10年保証は万が一の備えでもありますが、家庭内のすべてのエアコンに加入すべきかは予算と費用対効果の面からも考えどころです。
保証費用と費用対効果を考えると、家庭内でエアコンの稼働率の最も高い部屋であるリビングのエアコンに10年保証を付けることを推奨します。
またリビングは家庭内で最も部屋の広さが広いことから、エアコンの本体購入代金も最も高い機種が採用されている部屋となります。その点でも万が一の保証としての費用対効果も高いものと言えます。
フィルター自動掃除機能付きのエアコン
リビングのような広い部屋(14畳以上)用のエアコンを選ぼうとすると、ほぼ強制的にお掃除ロボ付きの機種に限定されます。
前述の経年の不具合の出やすいお掃除ロボのユニットが搭載されていることからも、お掃除ロボ付きの機種を購入した場合は10年保証を追加することを推奨いたします。
新型・亜種のエアコン
近年、いくつかのメーカーで、明らかに奇をてらった機構のエアコンを商品化、販売し始めているものがあります。
例えばこのSHARPで2021年に販売された「Airest(エアレスト)」。
これがエアコン!?という見た目です。エアコンとも言えるし、空気清浄機とも言える機種です。
製品の良し悪しは置いておいて、まだ市場において、お客様の実際の使用環境で長期に渡って機能・性能・耐久性は評価されていません。
また、従来型のエアコンであれば型落ちの機種の共通部品もあり、部品在庫の補填が聞きやすい面がありますが、特殊なこの機種だけとなると今後長期の部品供給に脆弱性が出る可能性は否定できません。
こういった製品は10年保証に加入しておく意義は高いと言えます。
10年保証の費用
保証のほとんどは、家電量販店や通販含めた販売店にてそれぞれ独自の保証を付けられているのが実情です。
その費用の相場は10,000円~15,000円が相場のようです。
【おわりに】
以上が、エアコンクリーニングに携わる当社が実際の経験からアドバイスするエアコン購入時の10年保証を推奨する基準でした。
保証の内容・費用については各メーカー、販売店によって変わりますことから、よくご説明を受けてご確認の上で、当社のこの記事も参考にしつつ判断材料にしていただければ幸いです。
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