人材の育成方針で壁にぶつかる
創業当時、人を雇い始めた際の人材育成の考え方の基本は
『職人を育てる』
でした。
1か月でこれぐらい、3か月でこれぐらい、半年でこれぐらいのことが出来るように、1年で一人前(一通りのことは任せられる)にしなければならないというような責務というか、ノルマのようなものを指針にしていました。
つまり、
1か月でこれぐらいになっていなきゃ駄目だ
3か月でこれぐらいになっていなきゃ駄目だ
半年でこれぐらいになっていなきゃ駄目だ
1年でこれぐらいになっていなきゃ駄目だ
という指導方針と評価です。
そうなってもらわないと困るとも言えます。
しかしながら、そんなこちらの思惑通りに育っていく子はほとんどいないわけで、ほとんどは
1か月でまだこんなものか?
3か月やってまだこれか?
もう半年たったぞ?
1年たってこの程度か?
という見方になってしまいます。
こういう見方をしているとどうなるか?
当然見られている側の新人は
『ああ、自分はダメな子なんだ』
『足を引っ張ってばかりだ』
『会社や先輩に迷惑ばかりかけている』
『居ない方がいいんじゃないか』
となり、モチベーションは下がり、辞めていきます。
ここで指導育成する側の親方、会社は分岐点を迎えます。
- 悔しい・なにくそ・見返してやると必死になれない
- 創意工夫・向上心が足りない
- そういう子は向いていない、辞めてもらって結構
とするのか、それとも
- その子なりに真面目に一生懸命、手を抜かずにさえいればいい
- 経験に勝るものはない、継続の機会を与えさえすればいずれは
- 一線級にならなくとも役割と貢献度はあるはずだ
と見るかです。
少数精鋭のプロフェッショナル・職人集団を作ろうと思えば前者でしょう。
後者は会社としてのミッション・目的をどう設定するか?ということに密接に関わってくるのです。
もちろん営利活動ですので、最終的には顧客満足を得て、それをお金に変えなければならないわけです。
少数精鋭のプロフェッショナル集団は競合他社に無い技術・品質やスピードを提供できることが容易に想像できます。
反面、前述のように中々精鋭足りうる人材はいませんし、育成も至難です。人も定着し難い傾向になります。
後者は人の定着はしやすくなるかもしれません。反面、技術や品質、スピード面では平均的で突出したものを打ち出しにくく、またその点で差別化が難しい。案件単体で見ると利益率が低い傾向とも言えます。
創業当時、私は前者の指導方針で育成していました。
しかし、その方針での人材育成は5~6年で壁にぶつかりました。また自問自答するところがあり、現在は後者の育成方針となっています。
これはどちらの指導方針・人材育成が正しいというものではありません。
ただ、行き詰った際に、親方、会社経営者として、自分はどうすべきか?どうしたいのか?自分の事業体としての存在意義を問われる瞬間は来るのだなという経験を私はしました。
また別途ブログに書きますが、とりあえず創業5~6年で人材育成方針で壁にぶつかった…というお話しでした。