自分の物差しで世の中を問うんじゃない、自分の物差しを問え
自分ならこうするな…
自分ならこう考える…
自分ならこう分析する…
いわゆる自分という『物差し』を持って世の中の事象、特にビジネス的視点を持つことはとても重要です。
特に個人事業主として独立して何かをなそうとする人であれば自分の物差しを持っていることはとても重要でしょう。
いや、個人事業主として独立するような人は、それなりに自分の物差しの正確性に自信を持っているからこそ独立するのでしょう。
しかし、時にその自分の物差しを疑い、捨てなければならないことがあります。
先日、voicyというアプリで、キングコングの西野亮廣さんの放送の中で
『自分の物差しで世の中を問うんじゃない、自分の物差しを問え』
という言葉が出てきて、私の開業当時の苦い記憶が蘇りました。
自分の物差しで推し量っていたことが誤算だらけ
見習い期間もそこそこに見切り発車で独立開業。
開業当初、いざ自身が独立して道具・洗剤一式そろえて一定の時間内に一定のクオリティで納めるということが、全くイメージとは別物であったということが仕事を受ければ受けるほど痛感する日々でした。
現場作業だけでなく、集客=仕事を獲得することも甘く見ていました。
開業前は当然のことながらハウスクリーニング業界について下調べをしました。自分の『物差し』でお掃除業界のことや、フランチャイズ、競合他社、マーケティングについて推し量り、
「ハハアンッ、なるほど♪」
と理解したつもりでした。
- ホームページ?名刺代わりに作っておこうか…
- チラシ配ればある程度は…
- 顧客をリストアップしてDMを送れば…
- 飛び込み営業して…
- 誠意を持って仕事すればリピーターさんが付いて…
全て上手く行きませんでした。
これで食べていけるというような集客には何一つ結びつきませんでした。
自分の『物差し』で推し量ってきたことが、開業して早々に現実と大きく誤差が出始めていました。
偶然の師匠との出会い
そんな時に、師匠と言うべき人との出会いがありました。
『君、にっちもさっちも行ってへんのやろ?俺が一から教えなおしたるわ』
と声をかけてもらいました。
それから現場に呼んでもらえるようになり、そこで清掃技術・知識について、本当に一から教えていただきました。
しかし、当初そこでも私はまだ自分の物差しを持ち出して師匠のやり方・考え方を推し量っていたのです。
師匠が『ここはこういう道具でこうやってな…、この道具、この洗剤は持っておいた方がいいぞ』
と説明してくれても、心の中では
「へ~そういうやり方もあるんだ~、でも自分が考えるこの道具、この洗剤、このやり方でもいいんじゃね?」
と思っていました。そんな風に思っているものだから、すぐにその道具や洗剤を買い求めたりもしませんでした。
集客でもそうでした。
師匠が『ホームページのここをもっとこうしてこうしたら…』
と説明してくれても、心の中では
「そこをそうしたところで大して変わらないでしょ?大した効果無いんじゃないかな~」
はい!わかりました!といい返事だけして、心の中で自分の物差しでそう推し量っていたので当然行動にはすぐ移しませんでした。
『その物差しを捨てろ‼』
せっかくの貴重なアドバイスの数々も、自分の物差しでこれは良いな、これはまあまあ、これは別に…などと今思えば何様なんだ⁉という目線で推し量っていました。
当然、そんな姿勢は師匠にすぐ見破られます。
『お前はそうやって自分の物差しで推し量って、ああでもないこうでもないと判断してきた結果が、掃除も出来ない、仕事も獲れないで今食うや食わずなんちゃうんか?』
『それをこの期に及んでまだ人のアドバイス、指導をその当てにならん自分の物差しを引っ張り出して推し量ろうとしてる。その物差しを捨てろ‼捨てられないと言うなら俺の目の前から消えろ‼』
とそれはそれは厳しい口調で言われました。
その通りです。
私は「教えてください」と教えを請うておきながら、当てにならない歪んだ自分の物差しを持ち出しては取捨選択をしていたのです。
自身が、よしこの人が言うことやることを学ぼう、吸収しようと決めたなら、私に必要なことは、
とにかく言われた通りやってみる、即実践してみる
ことだったのです。
自分の物差しでは推し量れない事象にも関わらず、自分の物差しを疑うこともなく、捨てることもなく、さも相手の事象の方を疑い、問題がるかのように捉えていたのです。
掃除屋としてビジネスが上手く行くはずはありませんでした。
本当に今思えば恥ずかしい、師匠にズバッと言っていただかなかったら、私はどうなっていたか…という経験でした。
それ以後は、上手く行っている人の『こうやったら上手くいくよ』という助言はその人がやっているやり方を丸パクリしてでも実践してみるようにしています。
とは言え、やはり今でもそれを邪魔するのはいつも自分自身ですが…。