雇用に対する覚悟 Part 2

職人仕事の事業主・経営者の皆さんに質問です。
面接で来た子が

『私は独立する気はありせん』と言ったらどう思いますか?

昔の私は、独立心が無いなんてこの子はやる気がない、職人仕事を甘く見ている、向上心が期待できない等々、ネガティブな印象を感じたものでした。

雇用に対する覚悟2

当社に来る求職者

不思議なことに、当社にくる求職者のほとんど…いや全員と言っていいくらい

『私は独立したいという気持ちは持っていません』

と一様に言うのです。

最初は、独立願望があることを言ってしまうと採用の可否に影響すると考えているのかな?と思いましたが、話しを聞き進めると本当にその気はない様子。

当時はそうは言ってもいずれは独立…と思って採用を進めていました。

また、私の中でいつかは独立させて彼らを事業主に…という想いをもっていましたので、それはそれは厳しい指導をしていました。

『そんなことじゃ独立して事業主としてやっていけないぞ!』

と単なる作業者としての技術指導だけでなく、事業主としての仕事との向き合い方、心構えや考え方などについても指導していました。

しかし、指導する社員を見ているとなんとも歯がゆい、こんなことで将来独立させた時にやって行けると思っているのか?とイライラするばかりでした。

またそんな私のイライラを感じてか社員は余計に沈んでいました。

そんな時のエピソードが先のブログです(下記参照を)。

そうか、足りないのは社員の独立に対する覚悟ではなく、私の社員に対する雇用し続けることへの不安や困難さといった、雇用に対する覚悟が足りなかったのだと。

求職者は『居場所』を求めている

ハウスクリーニングだけでなく、職人仕事は独立してナンボの世界と思っていた私は、独立したくないという感覚が理解できませんでした。

しかし、当社に対する求職者の多くは、ハウスクリーニングという仕事に対して、独立して稼ぐという価値を見出してはいなかったのです。

彼らがハウスクリーニングという職種に、また当社コジワンサービスという会社に対して期待していることは、

  • コツコツとした地道に誠実な仕事に従事して会社やお客様に貢献すること。
  • それによって自分の存在価値を確立したい。
  • ひいては、自分の居場所となりうる会社を期待している。

私はそう感じるようになりました。

彼らの中の優先順位は、独立して自らお金を稼ぐ醍醐味や収入増ではなく、自分の存在価値を認めてくれて安心して長く働ける居心地の良い居場所のような職場・会社なんだと気づきました。

それに気づいてから、私の雇用に対する覚悟がはっきりしました。

独立しなさいとも言わないし求めない。

彼らが一生この会社に骨をうずめてもいいと思えるような会社にすること。

それが私のミッションなのだと覚悟を決めたのです。

不思議なことにその覚悟を決めた途端、会社は大きな転換点を迎えて、次なる発展に向かい始めたのでした。