後進に何を求め、何を委ね、引き継ぐか
ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO2023を終えて
11月15~17日に開催された【ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO2023】の展示会訪問を終えて、各種の講演を聞いたり、沢山の同業の方とお会いしてお話ししました。
お会いした方たち全員と深く具体的な体験談を交わしたわけではありませんが、清掃業・掃除屋さん独特の
お互い目を見ただけでわかる、同志感
のような初対面なのに古き良き戦友と会ったような優しさに触れた展示会でした。
ゼロから始めた事業主なら皆さん少なからず『泥水をすする』ような苦労をされた、されているはずです。
特に同業の掃除屋さんの色んな方の苦労話を聞くと、ああ自分もまだまだ、もっと頑張らなきゃと思う。
ただここで私の失敗談を。
当時、苦労してやっと社員を雇えるようになった時、その社員たちに
『同じ苦労を味あわせなければ一人前にならない』
と思い込み、
これぐらいの激務、過労、過酷な現場に耐えられないやつに掃除屋は務まらない!
とばかりに厳しく接し、酷使した。
しかし、実は自身が苦労した体験の大半は掃除業界の悪しき慣習であったり見直すべき価値観であり、本来はしなくてもいい苦労であったり、させるべきでない苦労が大半だったのだと後になって気づきました。
親方が子にこの悪しき慣習、価値観を押し付ける負のループが掃除業界が良くならない、自社の活力が湧かない原因で、この負のループをどこかで断ち切るべきなのだと気づくまでにかなりの時間を要しました。
もちろん、一人前の職人になるべく体験するべき苦労や受け入れて克服すべき状況は有ります。
ただ、
- 自分は昼夜昼夜通しで何十時間連続で働いたものだ
- 道具は自分(自腹)で買って用意するものだ
- 休みなんて無くて当たり前
- 暴言を吐かれても耐えるもの
- 丁稚・見習いはお金をもらえるだけありがたいと思え
- 掃除業界は低賃金で当たり前
- こういう経験をしてこそ一人前になれる
これは掃除業界が過去連綿と引きずって来た悪しき慣習や価値観であって、本来は後進に踏み絵のように強要すべきことでは無いのです。
掃除業界を変えたい…などというつもりは私には毛頭ありません。
業界の慣例や前例や他社がどうこう関係なく、自身の後進に掃除という仕事で何を求め、委ね、引き継いでいくかという自分自身の価値観が問われているのだと思うのです。
講演を聞いて
株式会社横浜GLITTERの樽川代表
株式会社ワンズハートの藤原代表
ライフパートナーズ長崎の鍬﨑代表
の講演を聞いて特に感じたのは、彼女たちは自身の会社・事業をまず働く立場の人間の側から逆算して仕事をしているのではという点でした。
仕事の条件ありきで受注するよりも、働く立場の人間の労働条件に合致する条件の仕事をいかに増やすかということに注力しているように感じられました。
確かに女性という視点、働く女性の立場という面はありますが、それはひいては老若男女関係なく必要な考え方だと感じました。
そのための人材育成であったり、職場づくりであったり、マーケティングだったり、営業活動であったりの事例や考え方は、自身に足りない視点・行動であったなと学ばせていただきました。