やる気のある子、普通の子、後ろ向きな子、時間をかけるのは?

やる気のある子、普通の子、後ろ向きな子、時間をかけるのは?

零細の清掃業の会社は、指導育成と言えばモロに人と人とのぶつかり合いです。社長も一職人であり、全社員とマンツーマンで接しようと思えばできてしまいます
社員の人数が増えてくると、社員の中には自然と温度差が出てきます。

わかりやすく大別すると、

やる気のある社員


普通の社員


後ろ向きな社員

です。

①は仕事を早く覚えたい!もっと貢献したい!自己を成長したい!という意欲と行動を伴う子です。素直ですし、放っておいても勝手に自分で色々試したり、調べたり、質問も多く成長に貪欲な子です。

②は真面目であることは疑いようは無く、素直に指示に従うものの積極性や自分で考えて行動するという点でもう一歩が踏み出せず、先輩・上司・会社としてはやや歯がゆくも暖かく見守りたい存在です。

③は表面的には①と②のように見えつつ、見せつつ、能力も低いわけではないが、裏では教え方・仕事の与え方が悪い、先輩・上司・会社のあそこが悪いここが悪いという他責の想いが先に来て行動を阻害してしまっている子です。

皆さんが先輩・上司・社長なら①~③のどの社員に時間と労力を割きますか?

以前の私は③の社員に時間と労力を割いていました

③のタイプは中堅、ベテランの社員に多いです。また新人でも優秀で要領よく吸収の早いタイプにも多いです。ある程度仕事の経験も積み、こ慣れてきて、わかってきて、先輩・上司・会社の指示に従って行動に移す前に、自分の考えるやり方とを天秤にかけたりし始めます。

先輩・上司・会社としては、厄介な存在です。

せっかく中堅・ベテランの域に達してきた社員が面従腹背=表向きは従っているようで腹の中では『指示が悪い、効率悪い、自分ならこうするのに、どうせ無駄なのに、大して意味ないことを…』と口には出さないまでも腰が重い
率先して見本になって欲しいにも関わらず、行動に移してくれない、行動で示してくれない、様子見に回ってしまう。

また覚えの早い有能な新人も時に同様で、期待をかけていたのに、なまじ要領がよく、能力が高いだけに早々に上記の中堅・ベテラン社員のような思考や振る舞いをし始めてしまう。

以前の私はこの③の社員に時間と労力を割いていました

「会社の意を汲んで、お前たちがもっと見本になって率先して行動してくれ!」

「社長の考えを理解してくれ!それを下の者に浸透させてくれ!」

「君には期待しているんだ、新人同士で横を見て自分は覚えが早いと安心するんではなく、横を見ず上を見て取り組んでくれ!」

と、接する機会を増やして、何度も説明し、話し合い、山本五十六よろしく③のような社員にやってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめて…時間と労力をかけた。

しかし、時間と労力をかければかけるほど社内の人材育成の状況は悪くなる一方でした。

そして私のストレスも溜まる一方で悪循環でした。

一方で、①の社員はもともと持っている能力も高く、成長意識も高く、苦労も厭わない性格から、こちらが課題を与えたり指導をしたりすれば素直に取り組み、また結果を示してくれます。

なので、以前は①の社員は少しの時間と労力をかけて『あとは一人で大丈夫だな?その調子でやってみて!』とある程度放置してもコツコツ自分でやってくれるので、その分③の手のかかる社員のフォローの時間に当てていました

イメージとしては全体の仕事への取り組み意欲を均一に底上げしようというイメージです。

ですがそのやり方が間違っていたことに気付いたのです。

①の社員に全集中した結果、すべてがうまく回り始めた

③に時間と労力をかけてもまあ『獲れ高』は少ないわけです。なんならマイナスの時もあるわけです。『ああまた上司・社長に捕まったよ、うぜええ』と。

③の社員とはお互いに獲れ高が無いので、ただ疲れるだけです。
指導に当たる上司や社長の気持ちも気分も落ちます。
それを見ている①や②の社員も当然一緒になって空気は落ちます。『疲れてらっしゃる…、落ち込んでらっしゃる…、イライラされてらっしゃる…、愚痴ってらっしゃる…』と負の空気に冒されます。

あれだけ時間とエネルギーをかけて接して、対面では『社長のお考え、よくわかりました。実践していけるように頑張ります!』なんて言ってくれてたはずの社員が陰で『社長のやり方は間違ってる、無駄なことしている、上手くいきっこない』と批判していたりということまで起き始めていた。

時間と労力の費用対効果、なんならゼロどころかマイナスじゃないかと愕然としました。

これが従来でした。

最初は、経営者である私の精神衛生上、これ以上③の社員に時間と労力をかけていると精神が持たない!というのが本音だったからかもしれません。

いくら時間と労力をかけても変わろうとしない③の社員のことなどもう知らん!

素直で従順で成長意欲の高い①の社員と接している方が、時間と労力をかけた分の成長・成果も感じやすい!何なら『社長、ありがとうございます!』って感謝される!気持ちいい!(笑)

ああ、もうえこ贔屓だ、好き嫌いで人を選んでいると言われようが、①のような社員に限られた時間とエネルギーを注いで行こう!

と切り替えたんです。開き直ったんです。

そうしたところ…社内の空気が少しずつ変わって来たんです。

①の社員に時間と労力かけた方がいい理由

①の社員はやはり『獲れ高』が大きいわけです。時間と労力をかけたらかけただけグングン成長してくれます。

相手の①も時間と労力をかけてもらって成長を実感出来るので『もっともっと獲れ高をください!』となりますし、かけているこちらもかけた甲斐があるのでもっともっと時間と労力をかけたくなってきます。
何よりこの関係はお互い気持ちがいい!(笑)

いやこの気持ちの良さの重要性にもっと早く気付くべきでした。

この時、当然③の社員は冷ややかな目で見ているわけです。
何より①の社員は少数派です。全体の2割いるかどうかです。
なんなら③はどっち付かずの②の社員を③側へ引き込もうとしたりしますので、初めは8割は事実上の様子見側に回ります。

でもそれでいいんです。

私は①の社員をどんどん成長させることにしました。
他の8割の社員との差を意図的につけさせました。

責任も役割も、ポジションもどんどん①の社員に与えていきました。

すると②の社員が、少しずつ①寄りの意識と行動を取るように勝手になって来たのです。
①の成長に負けまいと、また羨ましく、自分もと前向きな姿勢になって来たのです。

③の社員も、腹の中はどう考えているかわ分かりませんが、表面的には重い腰を上げるようになってきました。

以前は全体的に底上げを図ろうとしていましたが、今はいびつであろうが部分的にどこかを突出させることでそこに引っ張られて底が上がってくるような現象が起き始めたのです。

あんなに時間と労力をかけ、精神を削って全体底上げしようとして上がらなかったものが、どこかを突出させたら底が上がり始めたのです。

これは何を意味しているかというと、おそらくは、

平等に均一に全体に理解や成長を求めるより、これと見込んだ人材で理解と成長の成功モデルを作り上げた方が全体の底上げは早い

ということだと解釈しています。

これは持論ですが、

会社、社長の方針を全体に理解浸透を図るよりも、いち早く理解した者を徹底期に成長させて方針を一つ一つ成果にした結果で示させた方が、論より証拠で全体への浸透が早い。

人材育成においても『落ちこぼれを作らないようにする』ことも大事ですが『こうやったらここまで成長できる』というロールモデルを先に作り上げた方が、落ちこぼれが結果生まれ難くなることにつながる

おまけですが

社長は社長の意を汲んでくれて、目を輝かせてくれる社員と触れ合ってご機嫌でいた方がいい。
(YESマン、ゴマすり社員に囲まれることになるかは社長の力量・人徳次第でどっちみちアンコントロールだから気にしない)

と考えます。

どんぐりの背比べからの脱却

以前私がやっていたことは、カワイイどんぐりちゃん達に平等に養分を与えて、少しでも成長の遅いどんぐりがいたら養分を多めに与えたり日当たりを調整したりで均一に成長させようとしていました。

今は『このどんぐり伸びるぞ!』と見込んだら徹底的にそのどんぐりにお前竹だったのか?というぐらいに成長できるよう養分や日当たりを優先的に与えて成長させます。

他のどんぐりに『あそこまで俺たちだって伸びれるんだ!』って上を向いてもらうことだと。

均一に、平等に接して、何なら成長の遅い子を優先して…ってやっていたらその集団はいつまで経ってもどんぐりのままなんだと。
横を見てどんぐりの背比べをし合ってお茶を濁して終わる集団になるんだなと。

当社のどんぐりから何人、のように突き抜けてくれる人材を作れるかだなと。

それにはなによりまずは養分となる…

お仕事ください‼

以上です(笑)


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