『壁と卵』

『高く、堅い壁と、それに当たって砕ける卵があれば、私は常に卵の側に立つ。しかも、たとえ壁がどんなに正しくて、卵がどんなに間違っていようとも、私は卵の側に立つのです。』

by しゃっちょさん

嘘ですw

壁と卵

これは小説家の村上春樹氏が、2009年にエルサレム賞(個人の自由や尊厳、社会などをテーマにして活動する優れた作家に与えられるイスラエルの文学賞の一つ)を受賞した時の有名なスピーチの一説です。

2009年と言えば、私は前職を退職し、独立起業に向けて模索し始めていた時でした。
このスピーチをたまたまニュースで見たのですが、印象が強すぎて、その後、事あるごとに脳裏をよぎるようになりましたし、自身の人材育成方針に影響を与えています。

お掃除ビジネスを始めようと決めた際、今となっては本当に恥ずかしいのですが、
自分はすぐできるようになるし、教えるのも上手だから、どんどん人を雇って教えて、お掃除ビジネスで皆で食べられる人を増やしていこう!

村上春樹氏のスピーチの印象そのままに、卵の側に立ってあげるんだ!と考えていました。

しかし現実の私は、お掃除業界に足を踏み入れた途端に、上の画像の通りになりました。

壁にぶち当たって、ベチャっと割れてドロぉっとなった私です。

なんて高く、堅い壁だ…。
壊すのも超えるのも迂回するのも容易ではありませんでした。
自信(どっから来てたのか謎)があっただけに余計に打ちひしがれました。

その後、人を雇い始めるわけですが、雇った社員に対する感情はこうでした。

「俺がこんなに壁を超えるのに苦労したのだから、お前たちがその壁を超えようなど、俺の何倍も苦労しなければならないぞ!この俺を超えられるものか⁉」

と社員に対して私自身が『壁化』していました。
一体、何個の新人という卵を壁として叩き割って来たか…。

最初のうちは、また割れよった、なんと脆い卵よ、そんな脆さでこのお掃除業界に足を踏み入れるとはなんたる軟弱者よ!グハハハハッ!

とゲームのボスキャラみたいな振る舞いをしていました。

この業界に入ってくる新規参入者や新人社員に対して壁目線で「甘いわ!」って思ってしまうわけです。
ええ、ええ、自分もそうだったくせに自分のことは棚に上げておいて。

幸いにして、私は途中で気づくことが出来ました。

あれ?私は壁になりたかったんだっけか?
卵の側に立つんじゃなかったっけか?と。

誤解の無いようにですが、
私も基本的に、人は壁を超えてこそ成長出来ると思っています。
壁を超えなくていいとも、壁に対してアプローチしなくてもいいと言っているわけではありません。
時には割れちゃって白身が出ちゃうことだってあると思っています。
壁を意図的に設けることもします。

でもやっぱり最後は卵側に立ちます。

これはそうすることが正しいからだというわけではありません。
他人に対して「あなたもそうすべきだ!」と言いたくてこのブログを書いているわけではありません。

なぜなら、私が、勝手に、そう心に、決めた、ただそれだけです。

『たとえ壁がどんなに正しくて、卵がどんなに間違っていようとも、私は卵の側に立つのです。』

壁が正しくて、卵が間違ってても卵側に立つ⁉

言うは易し、成すは難し。

道半ばで暗中模索、悶々の日々でございます。。。

(涙)