皆さんの見習い時代ってどんなでした?

見習い時代

YouTubeも無い時代、見習いから入る

私が掃除業界に見習いから飛び込んだ13年前はYouTubeすらありませんでした(あったのかもしれませんが全くマイナー、なにそれ美味しいの?な時代)。
Twitterはありましたが、お掃除業界で情報収集・情報交換ツールとしてはとても機能はしてなかったよねって普及度でした。

『エアコンクリーニング虎の巻』なんてDVDが10万円とかで通販で売られていて、買おうかどうか迷う…え、お前あれマジで買ったの?(笑)、そんな時代でした。

インターネット上も、ホームページすら持っていない業者がほとんどで、あってもペライチで、掃除のノウハウなどネット上にはろくに公開されていない時代でした。

なので、お掃除のノウハウを身につけようと思ったら、清掃会社や個人の職人さんのところで見習い・丁稚に入るというという選択肢しかなかった時代でした。

多分に漏れず、私も某地元のお掃除の会社に面接してもらい見習いさせてもらうところからスタートでした。

名ばかりの見習い時代

インターネット検索で見つけた家から通えるその会社、スタッフ募集とあったので、早速電話をしてみると社長さんが電話に出られ面接することに。会社へ伺いますと申し出ると『いやファミレスで会いましょう』と。後で知ったのですが、会社の所在地は社長の奥様のお父さんの会社で住所だけ間借りしているだけとのこと。洗剤や道具・資材はレンタル倉庫を借りていてそこに取りに行く形でした。

その会社は一応、株式会社で従業員十数名とホームページに書いてありました。
ただ現場に一緒に入るのは社長さん以外は決まった二人で、その二人以外は最後まで一緒になることもお目にかかることもありませんでした。しかもそのうちの一人は私が見習い中に辞めて独立し、もう一人も私が辞める際に、自分もすぐ辞めますと言っていました。

面接の際は正直に「独立したいと考えているのでそれを前提に雇ってもらえませんか?」と伝えました。それでもまあいいですよと、めでたく採用されたのですが『来て欲しい時は電話・メールするんで、来てもらった時は1日8千円の日給を払います』と。

あ、社員として雇用してもらえるわけじゃないのね…まあ別にそれならそれでと思いましが、てっきり毎日現場に入るのかと思いきや、週に2~3回、数日前か前日にショートメッセージ(当時まだLINEは無いw)が来て『来れますか』と。連絡が来ない時は1週間連絡が無いこともざらでした。

とはいえ最初はお呼びがかかると、ヨッシャー!と気合を入れて待ち合わせ場所へ行き一緒に現場へ。しかしそこで待っていたのは…

三種の神器を渡されてひたすら擦る日々

掃除の見習いの三種の神器と後に私は呼ぶようにしましたが、

①洗剤(次亜、ケミ、サンポール)

②洗車ブラシ

③金だわし

の三種の神器を渡されて『塗って擦っといて』と言われてひたすら塗って擦る。
あとはスプレーを渡されて『これを吹きかけて拭いてまわって』と言われてひたすら建具を拭きに回る。
私の見習いはほぼこの日々でした。

お風呂やトイレを言われた通りに洗剤を洗車ブラシで塗って、金だわしで擦る。まあ当然、それだけでは綺麗にはならない。なるわけがない(笑)

あれ~?綺麗にならないな~と思いながら、自腹で買った洗剤や道具で試行錯誤するもびくともしない。『いつまでやってんすか?』と社長(年下)さんが見に来た際に「この汚れが取れなくて…」と私が言うと『じゃあここもういいんで、あっちで建具拭いておいてください』と。

あの汚れをどうやって落とすんだろう?と当然疑問は残るので、社長さんがやる様子を後ろで見ていようとすると、振り返った社長さんは『いや、早くあっち行ってやってくださいよ』と見るなと言わんばかりの物言い。
仕方なし、指示された箇所を拭いていると、しばらくすると社長さんが戻ってきたので、後でその個所を見ると確かに綺麗になっている。作業後に「あれはどうやって落としたんですか?」と社長さんに聞くと、『言ったとおりの洗剤塗って擦れば落ちるはずですよ。汚れが見えてないんじゃないですか?』と。
いやいやいや、今までも言われた通り塗って擦ってしてますけどことごとく落ちないですけどーーー⁉指示の仕方、教え方ちゃいますの??と内心は忸怩たる思い。

何度もこんな調子。
教える気はさらさらない、いやむしろ教えたくないのだと察しました。

何のために私を雇ったんだ?と思いつつも、これはもう見習いを当てにしても仕方がないぞと、自分で洗剤や道具を今まで以上に持ち込むようにして社長さんの目を盗んで試行錯誤したり、遠目から社長さんの作業の様子や使っている道具・資材をを目で盗むようにしました。
そのうち夏の繁忙期が過ぎると週に1~2日しか声がかからなくなり、ああこれ以上ここで見習いをしていても得る者は無いなと、意を決して、もう独立開業して自分でやっていきますと伝えると、その後、二度と声がかかることはありませんでした。

余談ですが、約半年の見習い期間で、その社長さんからはご飯どころか、缶コーヒー一杯すら奢ってもらったことはありませんでした。いや、でもここ重要じゃありません??(笑)

独立開業後も事実上の一人見習い

まあ今冷静に思えば、半人前もいいところの当時の私を呼べる現場が無かったのかなとも思います。

会社を登記して看板を掲げて開業後も、経験不足は否めず、取る案件取る案件が初物尽くしです。

自身で営業しつつも、積極的に同業者さんにも声がけして【応援】で呼んでもらい、その場で質問責めしたり、自分のやり方を見てもらったり比較したりで、事実上の見習い期間は続きました。

そこで知り合った同業者さんに「見習いってどうでした?」と聞くと、皆さん『ろくに教えてもらえなかったから結局自分で試行錯誤したり、人のやるのを見て盗んで覚えたよ』と、同じような境遇の方ばかりでした。

「やっぱり最初は【三種の神器】でしたか?」と聞くと『そうそうそう!三種の神器!あれだけで空室行かされたわ~ウケるwww』と三種の神器で通じました(笑)

同業者さんでも親切に教えてくれる人もあれば、ウザそうにして聞いてくるなオーラ全開の人もいました。

おわりに

私の開業当時もお掃除業界は参入障壁は低いと言われていましたが、ノウハウはまだまだブラックボックスで、口伝に近かったですね。
なので今よりは淘汰される業者さんは多かったように感じます。

今の時代は、ネットにも公開情報がたくさんあるし、YouTubeで動画で解説されてたり、Twitterで同業者さんと知り合えて仲良くなって教えてもらったりと、本当にいい時代になったものですよね~。

そりゃあ、今は当時と比べ物にならないぐらい新規参入が後を絶たないわけだ(;^ω^)