ドラマ「赤めだか」に感動

昨日テレビで放送された、立川談春さん原作の「赤めだか」を見ていたく感動しました。

TBSドラマ「赤めだか」

故、立川談志とその弟子である立川談春さんを中心とした師匠と弟子の物語でした。

立川談志氏に対する私のイメージは、
もちろん芸や笑いに対する求道者というものもありますが、
異端者、変わり者、頑固者、偏屈、
そして弟子に対しては無理難題や横暴、奴隷のように人を人とも思わぬ扱いをする人、というイメージでした。

物語では、実際に弟子入りするも、続かずに辞めていく人続出。
残った弟子たちの一人である、嵐の二宮和也さん演じる談春に「築地市場に行け」と
落語の修行をしたい談春さんに破門に近い仕打ちと思えるような指令出します。
築地で鬱屈とした日々を過ごす談春さんは、
後から入ってきた弟弟子である、濵田岳さん演じる「立川志らく」は
自分と同じく築地行の指令を拒否したにも関わらず
覚えの良さから談志師匠から目をかけられる姿を目の当たりにし嫉妬を抑えきれない。

しかし、
一見、横暴や依怙贔屓に見える談志師匠の振る舞いも実は
全てに意味があり、根底にあるのは「真の落語家」「稼げる落語家」になるために
修行の機会、課題を与えていたということがわかってきます。

感動したくだりは大きく二つありました。

「現実は正解だ」

この言葉は刺さりました。

「自分の置かれた状況には自分に原因がある。それを他人や世間のせいにして嫉妬ばかりしている奴はどうしようもねえ」

「嫉妬とは他人や世間を自分と同じレベルに引っ張りこもうとする感情だ。自分が嫉妬する人・環境を目指すにはどうしたらいいか原因を分析して努力・工夫するということをしない。そんな奴になるんじゃねえぞ。」

このくだりはグサグサと心に刺さりました。

ドラマの中でも談春はこの言葉を聞いて自分の嫉妬の気持ちを見つめ直し
築地という環境に置かれている今の状況を分析し芸に生かしていきます。

もう一つ感動したくだりは、
様々な苦労を経た弟子たちを「二ツ目」に昇進させた際に盛大に昇進イベントを開いてあげます。
その際に、落語業界からは「弟子たちはまだ未熟だ」「伝統を壊す」といった批判が起きます。
昇進して嬉しいながらも、不安を抱える弟子たち、
その席で談志師匠が弟子たちに対して言った言葉が

「お前たちはその辺の二ツ目の連中とはモノが違う。俺が保証する!」

「稼げよ」

と言って談志師匠はニヤリと笑います。

手前味噌ではありますが、
私の会社では、作業スタッフが3名いますが、みな未経験者でゼロからの育成でした。
もちろん正社員です。

気持ちとしては、当社のスタッフがどんなお客様を担当しても、
その辺の大した見習いもしていない''同業他社のスタッフより、
モノが違うという自負があります''しスタッフも持っているはずです。

そして、この仕事でその辺の同世代のサラリーマンより稼いでいる!
と胸を張れるような給料体系・福利厚生にしているつもりです。

長くなりますが、
私のハウスクリーニングの業界と落語の世界はまったく違いますが
少なからずハウスクリーニングの業界も師匠と弟子とまではいかないまでも
徒弟制度に近いものはあります。

この世界では独立するに当たり、
「見習い先」を見つけて「見習い期間」を経ている人が多くいます。
なみにフランチャイズ制度を活用して独立する人もいますが、
私の身近にはフランチャイズで独立してうまくいっている人はほとんど見かけませんで、
フランチャイズ店を辞めて、見習いから改めてやり直して独立し直す人の方が多いです。

ハウスクリーニングの業界では、このドラマ「赤めだか」に見られるような
師弟関係は残念ながら99%ありません。

ハウスクリーニングの業界では、
見習いは、見習いと言う名のもとに「安く使い倒せる人工(にんく)」と言うのが実情です。
師匠(親方)は、ろくな技術継承の指導もせず、
弟子(見習い)をとにかく朝早くから夜遅くまで安い賃金で使い倒す。

弟子は耐えかねて辞めて独立を果たすも、
客無し技術無しのため、見習い先のお客様の横やり横取りをしかけ
安い仕事を安さで取ろうとするので、
品質が低く、関係先との人間関係・信頼関係もグチャグチャという事例ばかりです。

私も人を雇うからには、絶対にそれはしたくありませんでした。
やはり、当社に入ったからには、スタッフには
コジワンサービスに入社して良かったと言ってほしいです。

ただ技術職ですので見よう見まねだけではなかなか出来ない仕事です。
接客も含めて人によってはつらい、難しいと感じる仕事内容かもしれません。
入社前の面接時には
「働き口を探しているなら、どの仕事も駄目だったときに最後にもう一度うちに来て」
と全員に伝えました。
「他には考えていません、ここで働かせてください」と入社しても、
雇いながらも「いつまで持つかな~」「辞めずに続けてくれるかな~」
という目でどうしても見てしまいます。
なにより一人前になってくれないと胸を張れるような給料は出せませんし、
言われたことだけやるだけではいい給料はもらえない厳しい世界です。
「この仕事無理だ!」と思うのであれば早い方がお互いのためですし
短期間での即戦力化もまたお互いのためなので
指導は厳しいものになります(と言いつつ優しく教えているつもりですが(笑))。

落語のような「芸」の世界とは全く違いますが、
技術職=手に職の世界も、
無理難題や横暴はしないまでも、
早めに見切りをつけさせるのも愛情である、
というのはわかる気がします。
技術職は「いくつかあるうちの就職先」では務まりません。
「この仕事しか(もう)ないんだ」
「絶対この仕事の技術を身に着けて食べて行けるようになるんだ」
という気概が無いと長く労使(師弟)関係が続くことは無いのがこの仕事だと思います。

そういう視点からも「赤めだか」は立川談志師匠の
一件横暴に見える弟子への当たり方が愛情の裏返しであることが
ひしひしと伝わって来て、非常に感動しながら見終えることが出来ました。